どこまでもつづく薄茶色の田園風景

鈍い錆色の土

灰色の雲がこびりついた空

濃紺の海

黒々と群生する山岳

 

 

もしも
日本から近現代的な彩りが消えてしまったなら
ここに広がっているのはどんなに鬱蒼とした景色だろう

ほんとうは
この場所にはずっとずっと
嫌になるほど彩度の低い景色が広がっているのではないだろうか?

 

その、
どこまでも飽き飽きとする低彩度な光景に、
潰れた蜜柑のように赤々と痕跡をのこして、闇を引き連れた高彩度の夕陽が沈む。

 

想像してみてよ

その夕陽の朱色が
この退屈な景色の中で
どれほど神々しく瞳に映ることか。

 

きっと
鈍色のつまらない景色に建てられた鳥居はどこまでも神々しく赤く

異常で、過剰な、
別世界への入り口として、
人々の信仰を集めるに値するほど、すばらしい存在に感じられることだろう。

 

もしもぼくが
鈍色の低彩度な景色で生涯を過ごすとして、
鳥居の朱色を視界にいれることがどれほど高揚する行為なのか、
想像するとわかるような気がする。

 

 

IMG_5066

 

 

今回の作品はね、
赤坂にある山王日枝神社の、
稲荷参道という裏の参道をモチーフにしています。
朱色の鳥居が幾重にも幾重にも連なって、景色のすべてが朱色に染まる。

神も霊も存在を信じていないぼくでさえ、
その神聖な雰囲気には、すっかりのみこまれて黙りこくってしまう。

 

東京に住んでいる人には行って欲しいな。
そして想像して欲しい
鈍い景色の中にたたずむ朱色がどのような効果をもっていたのか
ジャンキーなカラーに慣れてしまったぼくらには、想像しえないことかもしれないけれど。

 

 

 

石井七歩 / Naho Ishii

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