深夜3時だったと思う。
ぼくは夜の帳を散歩していた。

 

渋谷駅の再開発計画はどうやら2014年の7月からはじまったらしい。
地味な作業員と派手な重機が、夜な夜な乱雑な景色を鼓舞しつづけている。
ぼくはもう、重機が居なかった頃の渋谷駅を思い出すことができない。

好きだ、この、規則性を失った音響と視界が、
淫靡な暴力のように街を呻かせている。

 

 

 

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ガガギッ…ググギッ…
得体の知れない重機の履帯が土を舐め上げる音。
時折、思い出したように空へ響き上がる金属同士の衝突音。
不規則な光。赤色、緑色、黄色、黄色、黄色、オレンジ。

重要な大仕事であることはわかっているが、
どことなくがちゃがちゃと遊んでいるだけのようにも見える。
子供の頃、まだ地面と視線が近かった頃、
黒蟻がビスコの欠片を見つけてうろちょろしている姿が、
何となく楽しそうに遊んでいるように見えた、あの感じと似ている。

 

 

 

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誰もいない。
朝になるとどこからともなく人間たちが湧いてきて、
どす黒い肌色の液体を混ぜたように街の色が濁る。

夜の色は綺麗だ。
きわめて人工的で、どこまでも叶わない妄想のような色をしている。

 

 

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昼間、人間の体臭の染み込んだ景色をしている街が、
夜も更け、むりやりに人間の残り香を消そうとしているような、
景色そのものの顔を見せようとしているような、そういう時間帯があって、
それはきっと午前3時から午前3時半のあいだの出来事で、
その時間帯の夜のカオが好きだ。

 

 

 

 

石井七歩 / Naho Ishii

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“人工的で、どこまでも叶わぬ空想のような夜の色” への1件のコメント

  1. 初めまして、こちらのお写真で伺いたいのですが、どういった機材で撮影されたのでしょうか?

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