廻る廻る世界が廻る廻る

新しい絵が描けた。これは銀座。

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Hello future.

ある日、街をあるいていると、

このあいだまで存在していた建物が、跡形も無くなくなっていた。

渋谷東急プラザは49年の歴史に終止符が打たれたらしい。

冷たい歩道橋の上、

立ち止まって、解体されてゆく様子を眺めている通行人が片手分ほど居た。

ぼくも一瞬その4、5人のなかに混じったが、iPhoneでシャッターを切るとすぐに目を逸らした。

思い入れのある建物だったわけではない。

かつて、ここの紀伊国屋書店で立ち読みをして時間を潰した記憶が一瞬だけ頭を横断していった。

それだけの無感情。

でも、何もないところに建っていたのだな、と思った。

ここに原初から渋谷という街が存在したのではなく、

はじめは何もなかった場所に創造されたのだということを、

ばらばらに散らばる瓦礫と解体工事の轟音を眺めるまで、すっかり忘れていた。

そんな至極当然のことを忘れていたなんて笑えると思った。

そういえば、

このセカイに関しても、

何もないところに存在しているのだろうな、ということを日常的には考えない。

ぼくらのように矮小な生物が日常的に認識できる「もの」なんて、

このセカイに根源的に存在しているようなものではない。

ほとんどすべて成り立ちをたどることができて、

突如そこに出現したような性質のものではない。

街も、人も、組織も、制度も、

何もないところにぼくらが創り上げた幻影にすぎないのに

みんなその、永久につづく夢のような幻影をかたくなに信じている。

まるで絶対的存在であるかのように崇拝している。

ぼくもその崇拝者の一員だけれども

時折、周囲をみわたして

ぼくは、何か、すごく変なかんじがする。

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寒い冬がくる。

石井七歩 / Naho Ishii

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