ハンバーガーが好きなんじゃなくてファストフードに惹かれるのだ。
オニギリが好きなんじゃなくてコンビニに惹かれる。
チェーン店の無機質な機械がガーガーと乱雑にノイズを撒き散らして造るコーヒーがいい。
まるでロールプレイングゲームのセーブポイントのように、どこにでも点在するファミレスがいい。
誰が運転しているのかもわからない山手線がいい。
ビニールに入ったドーナツがいい。
顔を見せないでくれ。
出自を明かさないでくれ。
なるべく心を込めない工夫をしてくれ。

 

動力も構造もわからぬ正体不明の巨大マシンの、果実のようにヌメヌメした皮膚の上に椅子を置き、
金属が淹れてくれたコーヒーを飲み、交差点を行き交うセルロイドの人影を眺める。

 

自分の部屋があるということ以外、この街と私とのあいだに一切の関係も無いことが、どれだけ私を無防備に没頭させてくれていることか。

 

 

20歳になった頃から何度も繰り返し見る悪夢があるので以下に紹介する。

 

 

池袋の繁華街で、新宿東口のビルの屋上で、秋葉原の交差点の中心で、
舞台はいつも違うけれど、
気がつくと自分のまわりに5000人を超える人間が呻き声をあげて苦しんでいる。

 

私は電話をする。110、119、110、119、110、119、110、119

 

何度コールしても繋がらない。
110、119、110、119、110、119、110、119、110、119、110、119
みんなが一斉に電話するせいで回線が混み合っているのか?

いや違う、私以外のすべての人間が呼吸もままならないほどに苦しんでいるのだ。
110、119、110、119、110、119、110、119、

やっと繋がった、けれど出来の悪い人工知能と話しているみたいに支離滅裂で会話が成立しない。

110、119、110、誰も来ない、110、119、110、119、誰も助けに来ない。
ちらほらと見知った顔があることに気付く。

駆け寄って背中をさする。おかしな顔色をしている。
苦しむ人間に対してどうすればいいのかわからない。

抱きしめた腕の中で体温が失われる。次も、その次も。

気道を確保する?水を飲ませる?そもそも原因は何なんだ?
自分には何の知識もない。ただひたすら狼狽し、繰り返し馬鹿になった機械のように電話をかけつづける。

110、119、110、119、110、119、110、119
110、119、110、119、110、119、110、119
110、119、110、119、110、119、110、119

ごめんなさい、もう怠惰にしない、サボらない、
ちゃんと自分で出来るようにするから、
もう見知らぬ誰かが助けてくれるだろうなんて思わないから、

だから助けて、今回ばかりは、もしも誰かが見ているのなら…。

 

 

そして目が醒める。万事解決。
この夢、繰り返すこと8年目。

今日、27歳になった。

“Deus ex machina” への2件のコメント

  1. とても面白い記事ですね。興味深く拝見しました。特に、夢の話が面白かったです。
    ハンバーガーじゃなくてファストフードが好きという話からNahoさんはユニークなものよりスタンダードなものを、独特なものより均質的なものを好む方のように読みました。

    また、夢に関しては苦しんでいる人がいるのをどこかで強く感じていて、その人達を救いたいけどNahoさんに救う力がないと感じているのだと思いました。あと、池袋や新宿、秋葉原は都会的であり、トレンドの発信地として機能してきたのでそういうところで苦しんでおられる人々を救いたいと潜在意識で思っているのかな?と思いました。そしてこのブログのタイトルが「デウス エクス マキナ」ですが、これはあらゆる混沌の状況を一気に解決する物語の手法(超展開)なので、やはりNahoさんは潜在意識下ではそういう人たちを一気に救うような解決の糸口を探している(欲している)のかな?と思いました。あとNahoさんが描かれている絵にもその潜在意識がよく表れているのを感じました。気が向いたらまた追記します。

  2. 無駄に重い。笑
    自分が特別な感性を持った人間だと思われたいんですね。

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