母さんへ
母の母を看取る母の姿を私は遠巻きに見ていた。祖父が死んで、祖父母が住んでいた三鷹の都営住宅を引き払ってから、もうかなりの年月が経っていたと思う。 母の母、すなおに祖母と書けばいいのだけれど、どちらかとい…
ほんの少しのあいだだけnoteで記事を書いてみていた。 しかしシェアが前提のプラットフォームでは、どんなに意識しまいと気を強く持ったところで、どうにもハートと数字にぱちぱちと気が散ってしまう。むろんハー…
小学生のころ、授業中、よく学校のノートに迷路を描いていた。はじめは大胆なスタートを切った迷路も、じわじわとノートが埋められていくうちに描き込める余白を失い、肩身のせまい退屈な道程になってゆく。終盤に差し…
このところ文章を書きはじめると、いたたまれない気分におそわれる。車酔いによって絶景を楽しめなくなるのとおなじで、内蔵の不快感によって書きたいという気分を楽しめなくなってしまうのだ。 とはいえ、親しい友に…
とてつもない予感を覚えながらも、それがどんな意味を持つのかわからないことがある。 私が絵を描く時なんかは、必ずイメージとの邂逅が先にある。彼がどこからやってきたのか、どのように生まれ育ってきたのか、私に…